来世
ボルタンスキーが死んでしまった
歌も芸術作品も 作者が死んでしまっても残るという点は素晴らしいものだ
ただもう彼の新たな作品を見に行くことはできないのだと思うと 例えようのない悲しみが押し寄せてきた
昨日亡くなった彼は きっと今頃 紫色に光る来世の門を抜けているだろう
死は素早かったのだろうか
天国は白く 風が吹けば鈴が鳴っていたのだろうか
悼むことは痛むことだから いずれ薄れていくこのいたみを今は噛み締めていたいと思う
黄金に輝く小高い丘の上を 自由で 何者にもおびやかされない電灯になって ゆっくりと揺らいでいてほしいと願う